【相談事例4】

2-4-01
私たちの両親は認知症で施設に入りました。
両親の住んでいた家は、空き家になっています。名義は父です。
父は元気なときは、「私が施設に入ったら自宅は売ってもいいよ」といっていました。
このまま空き家で残しても、固定資産税の負担や、草取りなどの管理も大変ですので、名残惜しいですが、売ろうと思います。
両親の家を売ることはできるでしょうか?

動画で解説 家族信託
空き家になった自宅 売却 編

(1) 家は売れるか?

今回の事例のように、お父さんが元気なとき、「空き家になったら家を売ってくれ」といっていたら、お父さんが認知症になった後でも家を売ることはできるでしょうか?

残念ながら売ることができないのです。

前の事例と理由は同じです。
家を売るときハンコを押す人は名義人のお父さん。
しかし、認知症なのでハンコは無効です。
成年後見人をつけても、自宅の処分は家庭裁判所の許可が必要です(詳しくは前の事例で解説しています)。
しかし、売却して、お父さんのためにお金を用意しなければいけないなどの事情がない限り、許可は出ません。結果として家が売れないことになります。

これを書いている私も、何人かの成年後見人をしていますが、ご本人は施設に入って自宅が空き家になっているケースがあります。
もう戻ることはないでしょうが、自宅を売却することができません。
ときどき草刈りを業者に頼んだりするくらいです。
固定資産税も払っていますし、浄化槽の点検も定期的にしています。
ご本人は、今後その家に帰ることはないでしょうから、全くムダなお金です。
しかしこれまでの法律ではしょうがなかったのです。

(2) 家族信託なら解決できる

家の名義人のお父さんが家族信託をしておけば、問題なく家を売ることができます。

2-4-02

お父さんが元気なうちに、お父さんから長男(長女でもOK)に信託しておきます。

そうすれば、お父さんもお母さんも施設に入って、自宅が空き家になったら売却ができます。売却の手続きは長男がします。

売却したお金は長男が受け取りますが、お父さんのために使えます。お母さんのためにも使ってもいいとか、子供や孫のために使ってもいいと決めておけば、そのようにすることが可能です。
つまりこれって「隠居」ですよね。

成年後見では、家を売ることも、お金を家族のために使うことができませんでした。
しかし、家族信託なら、このような制限はありません。
ですから、お父さんの判断力がなくなる前に家族信託をしておけば、自分の意思を長男が引き継いでくれて、家族も困らなくて済みます。
やはり事前の対策が、後でイザとなったとき効果を発揮しますね。



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