不動産を信託した例で考えましょう。

3-5-01

お父さんが所有している土地を息子に家族信託しました。

名義は息子に移ります。
登記上は「所有権移転」です。

この土地は他人に貸しているので、賃料収入があります。
信託した後も、この賃料収入はお父さんが受け取るように設定します。

この場合、4種類の税金について考える必要があります。

贈与税・相続税

この場合、贈与税はかかりません。

贈与税や相続税では、利益をもらえる権利がある人(受益者)を所有者とみなします。

信託する前はお父さんの名義でした。
賃料はお父さんがもらっていました。

信託した後も賃料は、引き続きお父さんがもらいます。

つまり、税金的には名義が換わっていないと見ますので、贈与税はかかりません。

お父さんが亡くなって、賃料をもらう人(受益者)が別の人に移ると、
相続税がかかります。

所得税

お父さんに課税されます。

信託した後も、お父さんが賃料を受け取ります。
賃料はお父さんの収入になりますので、お父さんに所得税が課税されます。

不動産取得税

課税されません。

不動産の名義が換わると、新しい名義人に不動産取得税が課税されます。
しかし、信託で名義を移した場合は特例があり、不動産取得税はかかりません。

信託が終了するとき、元々の名義人や、その相続人以外の人が不動産を受け取ると、不動産取得税がかかります。

固定資産税

信託を受けた息子に課税されます。

固定資産税は名義人に課税されるルールです。
ですから、信託により名義が移れば、名義を受け取った人に、次の年から固定資産の納税通知が届きます。

しかし通常は、賃料を受け取る人(受益者、事例ではお父さん)が固定資産税を負担するように信託の内容を定めます。

このように、税金について信託をする前とした後で変わるのは、固定資産税だけです。
会社の株を信託する場合は、受益者を元々のオーナーにするのなら(通常はそうします)、設定時には贈与税はかからず、所得税も変わらないことになります。

基本的なことは以上ですが、
法人が受益者になった場合、
受益者がいない場合、
その他、税金上の特例が使えるか使えないかなど、
家族信託と税金については慎重にすべきポイントがたくさんあります。

ですから、ご自分のケースでは、税金面は
家族信託に詳しい税理士さんのアドバイスをお受けすることをお勧めします。

サイトの管理者である私も、家族信託の設定にあたっては
家族信託に詳しい税理士さんに税務チェックをお願いしています。




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